花粉症とは
人の体には細菌やウイルスといった外敵が体内に入り込んだ際、それらから体を守るために免疫が備わっています。ところが、免疫機能が花粉やハウスダスト・ダニなどを外敵と勘違いして起きるのがアレルギー反応です。一般には、花粉が飛散する時期だけに症状が現れますが、場合によっては複数のアレルギーの原因物質(アレルゲン)を持っている事があり、1年中症状に悩まされる方も少なくありません。また花粉を原因とせず、ハウスダストやダニを原因とする「通年性アレルギー」の方もおられ、ご自身のアレルギーの原因が何なのか、確認する事が非常に重要になります。


花粉症の検査
当院では1回の採血で36項目ものアレルギーの有無を、保険適応にてチェックできます。これにより季節性(花粉症)か通年性アレルギーかを判断する事ができ、より適切な治療が可能になります。
花粉症の治療
当院で実施可能な治療には(1)定期薬による治療と(2)注射剤による治療の2つがあります。
(1) 定期薬による治療
目の症状、鼻の症状など、ご自身のお困りの症状に合わせたお薬による治療が可能です。
また、眠気の出づらい処方など、ライフスタイルやご希望に合わせて処方いたします。
※各内服薬の特徴(目安)(薬品名はいずれも商品名にて記載)
(2) 注射剤による治療
当院では主に3種類の注射をご用意しております。それぞれの特徴は以下のとおりです。
ご自身の状態に合わせご提案しますので、ご希望の方は医師までご相談ください。
ヒスタグロビン注射 | ゾレア注射 | ケナコルト注射 | |
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特徴 | 副作用が少ない | 重症の花粉症にも効きやすい | 1回で長期の効果が期待できる |
費用 | 保険適応あり | 保険適応あり(やや高価) | 保険適応あり |
1シーズンあたりの注射回数 | 週2回、合計6回 | 月1~2回を3ヶ月程度継続 | 1回のみ |
効果が出るまでの期間 | 治療開始後3~4週 | 治療開始後3~4週 | 注射から数日 |
注意事項 | 妊娠中、重症の喘息の方は実施不可 | 重症の花粉症のみ実施可能 | 生活習慣病、眼科疾患などある場合は実施不可 |
ヒスタグロビン注射
スギ花粉やダニ、ハウスダストといったすべてのアレルギー疾患から体質を改善する根本治療です。
主な副作用には蕁麻疹や一時的な鼻症状の悪化がありますが、命に関わるような重大な副作用の報告はほとんどなく安心して使える薬です。
週2回の注射を行い、合計6回を1クールとします。最初の1クールで効果が現れる方は一旦様子をみますが、効果があまり得られない方や効果が持続しない方は必要に応じて2クール目の治療を行います。
対象となる方 | ● 花粉症の症状がきつい中等度以上の人(保険適応となります) 花粉症でヒスタグロビン注射をお考えの方はシーズンが始まる1ヶ月ほど前に始めることをおすすめします。 |
実施できない方 | ● 喘息の激しい発作がある方(症状を悪化させる恐れあり) ● 体力の低下が激しく、衰弱している方 ● 月経前、月経中の方 ● 妊娠中の方 ● 過去にヒスタグロビン注射でショックをおこしたことがある方 |
ゾレア注射
花粉症の原因であるIgEの作用を直接阻害するお薬です。
これまでの治療では改善が見込めなかった重症の方にも効果が期待できる、治療効果の高いお薬になります。
ただし実施にあたり、以下を満たす必要があります。
ゾレアによる治療を受けるための条件
(1)スギ花粉のアレルギー検査がクラス3以上(FEIA法で3.5UA/mL以上、CLEIA法で13.5ルミカウント以上)である
(2)「スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎の確定診断」がなされており、前スギ花粉シーズンでも重症な症状があった
(3)季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の治療を1週間以上行い効果不十分であった
(4)12歳以上で、IgE抗体が30~1,500 IU/mL、体重が20~150kgの範囲(投与量換算表で定義される基準を満たす)にある
(5) 妊娠中、授乳中の方を除く
詳しくは医師までご相談下さい。
ケナコルト注射
1回で長期(3~4ヶ月)の効果が期待できることが大きな特徴です。
ただしステロイド剤は効果が強い分、他の注射にくらべ副作用への注意が必要です。
当院では、実施前・実施後の採血を実施し、コルチゾールや血糖値といった検査項目の異常がないかをチェックすることで副作用の出現を抑えます。
アレルギー性鼻炎に対するステロイド注射は、ガイドライン上「一般的な使用は推奨されない」という記載となっています。一方で、薬剤添付文書においては筋肉注射の適用疾患として「アレルギー性鼻炎」が明記されており、厚生労働省によって保険診療が認められています。以上の点を踏まえ、当院におきましては、重症度が「重症」もしくは「最重症」で、かつ、以下の禁忌に該当しないことが確認された患者さんに、保険診療でステロイド注射を行っております。
ケナコルト注射が受けられない方
・ 妊娠中、妊娠予定、授乳中の方
・ 18歳未満の方
・ 緑内障、白内障
・ リウマチ性疾患の方
・ コントロール困難・重度の糖尿病または高血圧
・ 生ワクチンを接種直後の方